工事現場の環境の管理・改善に役立つ測定器
工事現場の環境の管理・改善について
工事現場の環境管理・改善は、労働者の安全確保、近隣住民への配慮、そして円滑な工事の進行のために非常に重要です。そのため、さまざまな種類の測定器が活用されています。
以下に、工事現場でよく使用される測定器とその用途について解説します。
- 1. 騒音計・振動計:
工事現場は、掘削機や重機、コンクリート打設などの作業で、大きな騒音や振動を発生させます。これらは、近隣住民とのトラブルの原因となるだけでなく、作業環境の悪化にもつながります。
【用途】
法令遵守:
騒音規制法や振動規制法に基づき、敷地境界線などにおける騒音・振動レベルを測定し、基準値内に収まっているかを確認します。
近隣への配慮:
測定結果を基に、低騒音・低振動の工法を検討したり、防音シートや防振対策を講じたりします。
作業環境の管理:
作業員が過度な騒音にさらされないよう、騒音レベルを監視します。 - 2. 粉じん計:
解体工事や掘削工事などでは、土壌や建材の微粒子が舞い上がり、粉じんが発生します。粉じんは、労働者の呼吸器系疾患のリスクを高めるだけでなく、近隣への飛散も大きな問題となります。
【用途】
労働者の健康保護:
労働安全衛生法や粉じん障害防止規則に基づき、作業場内の粉じん濃度を測定し、適切なばく露対策(例:マスクの着用、散水、換気)を講じます。
近隣への配慮:
工事現場の周囲で粉じん濃度を測定し、飛散状況を把握します。測定結果が基準値を超える場合は、防じんシートの設置や散水頻度の増加などの対策を強化します。
対策の効果確認:
実施した粉じん対策が有効に機能しているかを測定によって確認します。 - 3. WBGT計(熱中症指数計):
特に夏季の屋外工事現場では、熱中症が深刻なリスクとなります。WBGT(湿球黒球温度)は、気温、湿度、輻射熱(太陽や地面からの熱)を総合的に評価し、熱中症の危険度を示す指標です。
【用途】
熱中症の予防:
WBGT計で暑さ指数をリアルタイムで測定し、危険度が高い場合は作業の中断、休憩時間の増加、水分補給の徹底などを促します。
安全管理の見える化:
WBGT計を現場に設置することで、作業員自身がリスクを認識し、自主的な熱中症対策を講じる意識を高めることができます。 - 4. ガス検知器:
トンネル工事や地下工事、マンホール内での作業など、密閉された空間や換気が不十分な場所では、酸素欠乏や有害ガスの発生リスクがあります。
【用途】
酸欠・ガス中毒の防止:
作業に入る前に、酸素濃度、硫化水素、一酸化炭素などのガス濃度を測定し、安全な作業環境であることを確認します。
連続監視:
作業中も携帯型のガス検知器を身につけ、万が一、ガス濃度が危険レベルに達した場合に警報を鳴らすことで、事故を未然に防ぎます。 - 5. 照度計:
夜間工事や屋内での作業において、適切な明るさを確保することは、安全な作業と作業員の疲労軽減に不可欠です。
【用途】
作業箇所の明るさ確保:
作業場所の照度(明るさ)を測定し、必要に応じて照明を追加・調整します。
法令・基準の遵守:
労働安全衛生法やJIS(日本産業規格)などで定められた作業箇所の照度基準を満たしているかを確認します。 - 6. その他:
温度計・湿度計:
作業環境の温湿度を管理し、熱中症や結露などの対策に役立ちます。
風速計:
風が強い日の作業の可否判断や、クレーン作業などの安全管理に必要です。
VOC測定器:
新しい建材などから発生する可能性のある揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定し、シックハウス症候群などの健康被害を防ぎます。
工事現場の環境の管理・改善にお勧めの測定器
主な測定機器は以下になります。
- VOC測定器: 「VOCリアルタイムモニタ XP-3120-V」など。
(VOC(揮発性有機化合物)のリアル計測) - WBGT計(熱中症指数計): 「熱中症指標計 WBGT-213B」など。(正確な熱中症リスク評価が可能)
まとめ
これらの測定器は、工事現場の安全・衛生管理において、目に見えないリスクを「見える化」し、労働災害を防止するために欠かせないツールです。