解体工事現場の事故対策に役立つ測定器
解体工事現場の事故について
解体工事現場は、常に危険と隣り合わせであり、様々な要因で事故が発生する可能性があります。
ここでは、解体工事現場で起こりうる主な事故とその原因、そして一般的な対策について解説します。
解体工事現場で起こりうる主な事故
解体工事現場の事故は、大きく以下のカテゴリーに分けられます。
- 1. 倒壊・崩落事故
建物の不測の倒壊: 事前の調査不足や不適切な工法選択により、建物全体または一部が予期せず崩れ落ちる。
隣接構造物への被害: 解体作業の振動や衝撃、崩壊物の飛散により、隣接する建物や構造物が損傷する。
仮設物の倒壊: 足場、養生シート、防音パネルなどの仮設物が強風や不適切な設置により倒壊する。 - 2. 作業員の転落・墜落事故
高所からの転落: 足場からの転落、開口部からの墜落、不安定な構造物からの転落など。
重機からの転落: 重機への昇降中や、重機上での作業中に転落する。 - 3. 重機関連事故…
接触・挟まれ事故: 解体用重機(ショベル、ブレーカーなど)が作業員や他の重機に接触したり、作業員が重機と構造物の間に挟まれたりする。
転倒・転落事故: 重機が不安定な地盤や傾斜地でバランスを崩して転倒したり、解体中の開口部や地下に転落したりする。
解体物による飛来・落下事故: 重機による解体作業中に、破片や建材が飛散したり、高所から落下したりして、作業員や第三者に当たる。 - 4. 火災・爆発事故…
可燃物の引火: ガス配管の損傷によるガス漏れ、塗料や油などの可燃物への引火。
電気ショート: 配線の損傷や不適切な電気工事によるショートから出火。
溶接・溶断作業中の引火: 火花が可燃物に引火する。 - 5. 有害物質関連事故…
アスベスト(石綿)飛散: アスベスト含有建材の不適切な解体により、粉塵が飛散し、作業員や周辺住民が吸引する。
PCB・フロン・特定化学物質など: 設備の解体時にこれら有害物質が漏洩したり、作業員が接触・吸引したりする。 - 6. 埋設物・地中障害物関連事故…
ガス管・水道管・電気ケーブルの損傷: 地中を掘削中にこれらの埋設物を損傷し、ガス漏れ、停電、断水などを引き起こす。
地中障害物との接触: 予期せぬ地中埋設物(過去の基礎、産業廃棄物など)に重機が接触し、作業の遅延や事故につながる。
最近起こった事故
2025/7/15午後に、福岡県久留米市で、解体中の建物が倒壊し、作業員の男性2人が死亡するという痛ましい事故が起こりました。倒壊の原因については現在調査中との事です。
解体工事現場の事故を未然に防ぐには
解体工事の事故対策は、労働安全衛生法や建設業法の順守に加え、以下の基本的なステップを踏むことが重要です。
- 徹底した事前調査と計画:
建物の構造、使用履歴、隣接環境、埋設物などを詳細に調査する。
リスクアセスメントを実施し、潜在的な危険源を特定し、対策を検討する。
解体工法、作業手順、安全対策、緊急時対応計画を具体的に立案する。 - 適切な安全管理体制の確立:
統括安全衛生責任者の配置、危険予知活動(KY活動)の実施。
定期的な安全パトロール、安全ミーティングの実施。
ヒヤリハット事例の共有と対策。 - 作業員の安全教育と訓練:
作業内容に応じた専門的な教育(重機操作、足場作業、アスベスト作業など)。
保護具の正しい使用方法の徹底。
緊急時の避難経路、連絡体制、応急処置の訓練。 - 安全設備の設置と維持管理:
適切な足場、手すり、養生ネット、防音・防塵シートの設置。
重機の定期的な点検と整備。
ガス検知器、粉塵計、騒音計、振動計などの測定器の活用(これについては前回の回答で詳しく説明しました)。 - 近隣住民への配慮:
工事内容、期間、作業時間、予想される影響(騒音、振動など)の事前説明。
苦情への迅速かつ誠実な対応。
防音・防塵対策の徹底。
解体工事現場の事故対策にお勧めの測定器
事故を未然に防ぐために有効な測定器をご紹介します。
- 工事現場の安全対策、特に近隣への振動影響のモニタリングに:
「ポケッタブル振動計 VM-63C」など。 - 熱中症事故の対策に:
「熱中症リスク判定AIカメラ「カオカラ SIM仕様」」など。 - 粉じん対策と作業員の安全確保に:
「デジタル粉じん計 LD-5R」」など。
まとめ
解体工事の事故は、重大な人身事故や物的損害につながる可能性が高いため、徹底した安全管理と予見できるリスクへの対策が不可欠です。