橋梁点検
橋梁点検とは
橋梁点検は、日本の重要な社会インフラである橋梁の安全性を確保し、長寿命化を図る上で欠かせない業務です。近年、高度経済成長期に建設された橋梁の老朽化が進み、その重要性はますます高まっています。
橋梁点検の目的
- 安全性の確保:橋梁の損傷や劣化を早期に発見し、落橋などの重大事故を未然に防ぎ、通行する人や車両の安全を守ること。
- 機能維持:橋梁が本来持つ交通機能を適切に維持し、円滑な交通を確保すること。
- 長寿命化:損傷が軽微な段階で適切な補修・補強を行うことで、橋梁の寿命を延ばし、大規模な架け替えコストを削減すること。
- 効率的な維持管理:点検で得られた情報を蓄積し、今後の補修計画や予算配分に役立てること。
橋梁点検の種類と頻度
- 定期点検:
目的: 橋梁の損傷程度の評価、健全性の診断を行う。
頻度: 原則として5年に1回実施することが義務付けられています。新設橋は、供用後2年以内に初回の点検を行います。
方法: 「近接目視」を基本とし、原則として橋のすべての箇所に手で触れる距離まで近づいて点検します。必要に応じて触診や打音検査などの非破壊検査も併用されます。 - 通常点検（日常点検、簡易点検）:
目的: 安全性の確認及び損傷の早期発見を図る。
頻度: 年に1回以上（道路パトロール時などに実施）。
方法: 車内からの目視や、降車しての簡易な目視点検が中心です。 - 臨時点検:
目的: 通常点検で異常の疑いが見つかった場合や、特定の事象に着目して予防保全的な観点から行う。
頻度: 必要に応じて実施。
方法: 定期点検と同等の点検を行うことが基本です。 - 異常時点検:
目的: 地震、台風、豪雨、豪雪などの災害や大きな事故が発生した場合に、安全性を確認するため。
頻度: 災害や事故発生時に臨時的に実施。
方法: 特に異常が確認できる部材について目視点検を実施します。
橋梁点検の具体的な内容
- ひび割れ: コンクリート部材のひび割れの有無、大きさ、深さ、進展状況。
- 剥離・浮き: コンクリート表面の剥離や浮きの有無、範囲、深さ。コンクリート片の落下危険性。
- 漏水・遊離石灰: コンクリートからの水の浸出や、白い結晶（遊離石灰）の付着状況。
- 腐食: 鋼材の錆（さび）の発生状況、進行度合い。ボルトの緩みや破損。
- 変形・傾斜: 部材全体の変形や傾斜、ずれの有無。
- 欠損: 部材の一部が失われている状況。
- 排水施設の詰まり: 橋梁の排水管や排水溝の詰まり状況。
- 付属物の状況: 高欄（手すり）、防護柵、照明施設、標識などの破損や劣化。
橋梁点検の具体的な内容
- 道路橋点検士地上からの点検: 低い橋や橋台、橋脚の根元など、地上から直接目視できる範囲の点検。
- はしご・脚立点検: 比較的低い橋（高さ5m程度まで）に使用。
- 橋梁点検車（特殊車両）: 高所や橋の下に作業員を送り込むための専用車両。様々なタイプがあり、橋の規模や形状に合わせて選定されます。
- 足場組立て: 広範囲にわたる詳細な点検や補修が必要な場合に、仮設の足場を組んで点検します。
- ロープアクセス: 点検車や足場の設置が困難な場所で、専門の技術者がロープを使ってアクセスします。
- ボート点検: 河川や湖沼にかかる橋の水中部や橋脚の点検。
- 触診・打音検査: ハンマーなどで叩いて音の変化で内部の損傷（空洞や剥離など）を判断します。
橋梁点検に必要な資格
- 道路橋点検士、橋梁診断士など。
橋梁点検に役立つ測定器
主な測定機器は以下になります。
- コンクリート表面の硬度を測定し、強度推定の参考にします。: 「シュミットコンクリートハンマー NR」など。
- 鋼材の板厚を測定し、腐食による減肉の程度を確認します。: 「超音波厚さ計 45MG」など。
- コンクリート表面の温度分布を測定し、剥離や浮き、内部の空洞などを非破壊で検出します。: 「赤外線サーモグラフィ F50B-STD」など。
まとめ
橋梁点検は、私たちの安全な生活を支える上で不可欠な業務です。定期的な点検と、最新技術の活用、そして専門的な知識を持った技術者の育成により、日本の橋梁インフラの維持管理はより高度化し、安心・安全な社会の実現に貢献しています。
関連リンク
» 道路の陥没事故調査に役立つ測定器 特集
» 道路の陥没事故調査に役立つ測定器 特集
橋梁点検でお悩みならプロに相談!!
