事件現場の検証に使われる測定器

事件現場(犯行現場や交通事故現場など)の検証では、証拠の保全、位置関係の正確な記録、目に見えない証拠の発見などのために、さまざまな高度な測定器や分析機器が使用されています。
目的別に主な測定器をまとめました。
1. 現場の「立体的な記録・再現」に使う測定器
従来のメジャー(巻尺)による計測に代わり、現在の鑑識や検視では現場を3Dデータとして丸ごと保存する技術が主流になっています。
- 3Dレーザースキャナー(三次元空間反転計測装置):
役割: レーザーを照射して、現場のあらゆる物体(壁、床、家具、遺体の位置など)の距離と位置をミリメートル単位で正確に測定します。
メリット: 現場を瞬時に3Dデジタルデータ化できるため、後からパソコン上で任意の場所の長さを測ったり、容疑者の視点から現場がどう見えていたかをシミュレーションしたりできます。 - トータルステーション(光波測量器):
役割: 主に交通事故現場などで、道路の幅、ブレーキ痕の長さ、車両の衝突位置などを正確に測量するために使用されます。
2. 目に見えない証拠を見つける「光学測定器」
人間の目には見えない微細な証拠(体液、指紋、微細繊維など)を浮かび上がらせる機器です。
- ALS(代替光源装置 / Forensic Light Source):
役割: さまざまな波長(紫外線、可視光線、赤外線など)の光を切り替えて照射できる強力なライトです。
仕組み: 特殊なゴーグルを併用することで、目視では分からない衣服に付着した精液や唾液などの体液、洗剤で拭き取られた血痕、肉眼で見えにくい指紋などを蛍光させて浮き上がらせます。 - 赤外線カメラ / カメラ用特殊フィルター:
役割: 黒い服に付着した血痕(肉眼では黒に紛れて見えない)や、塗りつぶされた文字などを赤外線の反射率の違いを利用して可視化します。
3. 「血痕」の追跡・分析に使う器具
- ルミノール反応検査キット / ブルースター:
役割: 拭き取られて見えなくなった血痕を探すための化学発光測定です。わずかな血液(ヘモグロビン)にも反応して青白く光ります。 - 血痕パターン解析用分度器・レーザー:
役割: 壁や床に飛び散った血痕(飛沫血痕)の形状(長径と短径)を測定し、数式を用いて血滴が飛んできた角度(衝突角)を算出します。複数の血痕の軌跡をレーザーで結ぶことで、「犯行時に被害者がどこに、どのような姿勢でいたか(原点)」を割り出します。
4. 遺体や周囲の環境を測定する機器
- 非接触型体温計 / 直腸気温計:
役割: 死後経過時間(PMI: Post-Mortem Interval)を推定するために、遺体の直腸温度や環境温度(室温・水温)を正確に測定します。 - 検電器 / 電気テスター:
役割: 火災現場や感電死が疑われる現場で、漏電の有無や機器に電気が通っていたかを測定します。
まとめ
現代の事件現場検証は、「現場を傷つけずに(非破壊)、いかに迅速かつ正確にデジタルデータ化するか」が重視されており、特に3DレーザースキャナーとALS(特殊光源装置)は欠かせない最新兵器となっています。





