結露対策に役立つ測定器

結露とは
結露(けつろ)とは、空気中に含まれる水蒸気が冷やされ、液体である水滴に変わる現象です。
これは、空気の温度が下がることによって水蒸気として存在できる飽和水蒸気量が減少し、余分な水蒸気が水に戻る(相転移する)ことで発生します。
結露の主な種類と問題点
結露は発生する場所によって主に2種類に分類されます。
- 1. 表面結露(見える結露):
場所: 窓ガラス、窓枠、壁の表面、暖房を使わない部屋の家具の裏側など、目に見える場所。
原因: 室内と室外の大きな温度差により、室内の暖かい空気が触れる表面が露点温度以下に冷やされるため。
問題点: カビ・ダニの発生…水分を栄養源としてカビやダニが繁殖し、健康被害(アレルギーなど)を引き起こす。
建材の腐食: 窓枠や木材を腐らせ、建物の耐久性を低下させる。 - 2. 内部結露(見えない結露):
場所: 壁の中、天井裏、床下など、建材の内部。
原因: 室内から壁内部に入り込んだ水蒸気が、断熱材の途中で急激に冷やされ、内部で水滴となるため。
問題点: 建物の劣化…断熱材が濡れて機能が低下し、建材の腐食やシロアリ被害の原因となり、建物の寿命を大幅に縮める。
結露対策について
結露対策は、主に「湿度を下げる」、「室温を上げる・安定させる」、そして「冷たい表面を作らない(断熱・気密)」という3つの柱に基づいて行われます。
結露は空気の露点温度と物体の表面温度の差によって生じるため、この差を小さくすることが対策の基本です。
- 1. 室内の湿度を下げる(最も効果的):
【換気の徹底】
定期的に窓を開けて外の乾燥した空気と入れ替えるのが基本です。特に、湿気が大量に発生する調理中、入浴後、就寝時は、換気扇を必ず使用するか、窓を開けて短時間で湿気を排出します。24時間換気システムがある場合は、止めずに常時稼働させます。
【湿気の発生源を断つ】
洗濯物の室内干しはできるだけ避け、乾燥機や浴室乾燥機を利用します。
観葉植物の数を減らすか、水やりの頻度を見直します。
使用していない部屋でも、ドアを開けて空気を循環させ、湿気をこもらせないようにします。
【除湿】
除湿機やエアコンの除湿機能を積極的に利用し、室内の相対湿度を50%〜60%程度に保ちます。 - 2. 表面温度を上げる・温度差をなくす:
【暖房の使い方】
部屋全体を均一に暖め、壁や窓の近くの空気も冷えないようにします。部屋の温度を急激に上げると、壁や窓との温度差で一時的に結露がひどくなることがあるため、ゆるやかに暖めます。
【家具の配置】
壁と家具の間に空気の通り道(5?10cm以上)を作り、空気が滞留するのを防ぎます。特に外壁側の押し入れの裏などは、内部結露やカビの原因になりやすいため注意が必要です。 - 3. 建物の断熱性・気密性を高める(根本的対策):
【窓の対策】
二重窓(内窓)や複層ガラスを設置し、窓の断熱性を高めます。これにより、外の冷たさが室内側に伝わりにくくなります。窓ガラスに結露防止シートや断熱フィルムを貼るのも、簡易的な対策として有効です。
【断熱リフォーム】
外壁や床、天井に断熱材を追加することで、建物自体の表面温度が下がるのを防ぎます。これにより、目に見えない内部結露の対策にもなります。
【気密性の向上】
窓枠やコンセント周りの隙間を気密テープなどで塞ぎ、外の冷たい空気や、湿気を含んだ室内の空気が壁の内部に入り込むのを防ぎます。
結露対策にお勧めの測定器
主な測定機器は以下になります。
- 冷たい箇所の特定(熱の弱点)、露点温度との比較に: 「赤外線放射温度計 AD-5616」など。
- 露点温度の計算に必要なデータ収集、結露の発生タイミングと原因の特定、対策効果の検証に: 「温湿度ロガー LR5001」など。
まとめ
結露対策は、単なる水滴の拭き取り以上の、建物の維持管理と住む人の健康に直結する非常に重要な取り組みです。対策を怠ると、長期的に見て経済的・健康的な大きなリスクとなります。





