冬のアスベスト事故の対策

冬のアスベスト事故の対策について
2026年2月5日、北海道旭川市のホテル駐車場で一酸化炭素中毒でアスベスト除去作業にあたっていた作業員が倒れる事故が発生しました。
この事故と「冬の気候」には、非常に深い関係があると考えられます。
アスベスト除去作業という特殊な環境と、冬特有の防寒・凍結対策が最悪の形で組み合わさってしまった可能性が高いです。
一酸化炭素(CO)中毒が発生した背景には、以下の3つの要因が推測されます。
1. 暖房器具(ジェットヒーター等)の不完全燃焼
冬の北海道での作業は極寒のため、作業エリアや待機場所を温めるために可搬式燃料ヒーター(ジェットヒーター)を使用することが一般的です。
- 密閉空間での使用:
アスベスト除去現場は、粉塵が外に漏れないようビニールシートで厳重に隔離(密閉)されています。 - 酸素欠乏:
密閉された中で燃焼器具を使い続けると、室内の酸素が消費され不完全燃焼が起こり、一酸化炭素が急激に発生します。 - 冬の影響:
寒さのために本来必要な換気(負圧排気)を絞ってしまったり、給気口が雪や氷で塞がっていたりすると、さらにリスクが高まります。
2. 負圧除じん機と「寒冷」のジレンマ
アスベスト現場では、室内を外より気圧の低い状態にする「負圧除じん機」を24時間稼働させ、空気を常に外へ排気します。
- 排気=冷気の流入:
室内の空気を外に出すと、その分、外の冷たい空気が入り込んできます。作業員は寒さを凌ぐために、意図的に排気量を落としたり、吸気口を塞いだりしてしまう誘惑に駆られることがあります。 - 空気の滞留:
換気効率が落ちた状態でヒーターを使用すれば、一酸化炭素はあっという間に致死量に達します。
3. 立体駐車場という構造上のリスク
今回の現場が「立体駐車場」であったことも要因の一つかもしれません。
- 排ガスの滞留:
もし作業用車両や発電機を近くで動かしていた場合、立体駐車場のような半密閉構造では、冷たく重い一酸化炭素が低い場所に溜まりやすくなります。 - 煙突効果の欠如:
冬は外気が冷たく重いため、建物内の暖かい汚れた空気が自然に外へ逃げにくい(空気の入れ替えが起きにくい)現象が起こることがあります。
冬季の現場で今後取るべき再発防止策
このような事故を防ぐためには、アスベスト対策だけでなく「火気・換気」の徹底した管理が必要です。
- 暖房の変更:
燃焼ガスが出ない電気式ヒーターや、遠赤外線パネルヒーターへの切り替え。 - CO検知器の設置:
隔離内に一酸化炭素アラームを設置し、濃度上昇時に即座に避難する体制。 - 換気優先のルール:
「寒くても負圧管理と換気を優先する」という安全教育と、防寒着の性能向上。 - 監視員の配置:
隔離の外から作業員の様子を常時監視し、異常時にすぐ救出できる体制。
まとめ
アスベスト除去という「目に見えない粉塵」を防ぐための高度な密閉対策が、皮肉にも「目に見えない毒ガス(CO)」を閉じ込める結果となってしまったと言えます。いかなる環境においても、密閉対策については、十分な注意が必要です。





