火災事故の防止対策
火災事故の防止対策について
火災事故の防止対策は、大きく分けて「火災を発生させないための対策(予防)」と「万一火災が発生しても被害を最小限に抑えるための対策」の2つに分けることができます。
1. 火災を発生させないための対策(予防)
これは最も重要であり、日常生活や事業活動の中で常に意識すべき点です。火災の原因の多くは「人為的なミス」や「不注意」によるものです。
- 火の取り扱いに関する対策:
調理中: コンロの火をつけたまま、その場を離れない。コンロの周りに燃えやすい物を置かない。
たばこ: 寝たばこは絶対にしない。吸い殻は水を入れた灰皿で完全に消火する。ポイ捨ては厳禁。
暖房器具: ストーブの周りに燃えやすい物(衣類、布団、カーテンなど)を置かない。給油は完全に火を消してから行う。 - 電気火災に関する対策:
コンセント・配線: たこ足配線をしない。コンセントやプラグにホコリが溜まらないよう定期的に掃除する(トラッキング火災防止)。電気コードを家具の下敷きにしたり、束ねたまま使わない。
電気製品: 規定の容量を超えて使用しない。普段使わない電気製品はコンセントから抜いておく。 - 放火防止対策:
家の周りにゴミや燃えやすい物を放置しない。
物置や車庫は戸締まりをしっかり行う。 - その他の対策:
火災の原因となりやすい機器(ガスコンロ、暖房器具など)は、安全装置が付いたものを使用する。
子供にライターやマッチで遊ばせない。手の届く場所に置かない。
2. 火災が発生しても被害を最小限に抑えるための対策
万一火災が発生してしまった場合に備え、初期消火や避難、被害拡大を防ぐための準備をしておくことも重要です。
- 早期発見・通報:
住宅用火災警報器の設置: 煙や熱を感知して警報音で知らせてくれます。消防法で設置が義務付けられています。定期的な点検と10年を目安とした交換が推奨されます。 - 初期消火:
消火器の設置: 火災を小さいうちに消すために、消火器の設置場所や使用方法を確認しておく。 - 延焼防止・避難:
防炎品の活用: カーテン、寝具、エプロンなどに防炎品を使用することで、燃え広がるのを遅らせることができます。
避難経路の確保: 避難経路を常に整理整頓しておく。特に高齢者や体の不自由な方がいる場合は、避難方法を事前に確保しておくことが重要です。 - 組織的な対策(企業や施設など):
消防設備の定期点検: 自動火災報知設備やスプリンクラー設備、消火器などの消防用設備は、法令に基づき定期的な点検と報告が義務付けられています。
防火防災訓練: 火災発生時の初期対応、避難誘導、通報訓練などを定期的に実施する。
火災事故の防止対策に役立つ測定器
火災事故の防止対策に役立つ測定器は、火災の原因や予防したいリスクに応じて多岐にわたります。主なものをいくつかご紹介します。
- 1. 火災報知設備の点検用測定器:
火災を早期に発見・通報するための設備である「火災報知器」が正常に作動するかを確認する際に使用されます。
・加熱試験器: 熱感知器の点検に使用し、熱を加えて正常に作動するかをテスト。
・加煙試験器: 煙感知器の点検に使用し、煙に似た物を噴射して正常に作動するかをテスト。
・絶縁抵抗計: 火災報知器の配線における絶縁不良がないかを測定します。配線のショートが原因で火災が発生するのを防ぐため、非常に重要です。 - 2. 電気火災の防止に役立つ測定器:
電気機器や配線の不具合は火災の大きな原因の一つです。以下の測定器は、電気火災のリスクを事前に発見するのに役立ちます。
・絶縁抵抗計: 電気機器や配線の絶縁状態を測定し、漏電やショートのリスクを評価します。
・クランプメーター(電流計): 配線を切断することなく電流を測定し、異常な電流の流出がないかを確認します。
・サーモグラフィー(非接触温度計): 電気機器や配線の異常な発熱箇所を非接触で検知し、過熱による火災リスクを早期に発見します。 - 3. ガス漏れや有毒ガスの測定器:
ガス漏れや有毒ガスの滞留は、火災や爆発事故につながる可能性があります。
・ガス検知器: 都市ガスやプロパンガス、一酸化炭素(CO)、可燃性ガスなどの濃度を測定し、警報を発します。
・酸素・硫化水素・一酸化炭素・可燃性ガス測定器: 火災現場で発生する有毒ガスを測定し、消防隊員や住民の安全を確保するために使用されます。 - 4. 静電気による火災防止の測定器:
静電気が火花放電を起こし、可燃性ガスや粉塵に着火して火災・爆発に至るケースがあります。
・表面電位計(静電気測定器): 物体の表面に帯電している静電気の電位を測定します。
・絶縁抵抗計: 静電気の放電経路となる物体の漏洩抵抗を測定し、静電気が溜まりにくい状態かを確認します。
これらの測定器は、消防設備業者や専門の技術者が定期点検で使用するものが主ですが、家庭や事業所で手軽に使えるものもあります。予防の観点から、どのようなリスクが潜んでいるかを特定し、適切な測定器でチェックすることが重要です。
火災事故の防止対策に役立つ測定器
主な測定機器は以下になります。
- 絶縁抵抗計: 「絶縁抵抗計 KEW3442」など。
(電気火災の主な原因の一つである電気機器や配線の絶縁不良の有無の測定に) - 表面抵抗計: 「表面抵抗計 F-109-TA」など。
(静電気による火災発生のリスク防止に)
まとめ
火災対策は、個人の意識と行動だけでなく、
地域や企業全体で取り組むことで、より高い効果が期待できます