地震の際に使われる測定器

地震の際に使われる測定器について
地震の際に必要となる測定器は、大きく分けて「地震の揺れを観測・記録する機器」と、「揺れの影響や安全性を評価・制御する機器」の2種類があります。
1. 地震の揺れを観測・記録する測定器
これらは主に気象庁や研究機関、インフラ事業者によって設置され、地震の規模や震源、揺れの強さを把握するために使用されます。
- 地震計(Seismometer):
地震によって発生した地震動(地面の動き)を計測し、記録する機器です。原理は、錘(おもり)を慣性で静止させ、相対的な地面の動きを電気信号に変換する仕組みです。
・強震計: 建物などに被害をもたらす強い揺れ(加速度)を測定するのに特化しています。主に構造物の耐震設計や被害調査に役立ちます。
・高感度地震計: 人が感じないほどの微弱な揺れ(微小地震)を高精度で測定し、震源の位置や地震活動の研究に用いられます。
・広帯域地震計: 短い周期から長い周期の揺れまで、広い周波数帯域の地震動を測定し、地球内部の構造解析などに使われます。 - 震度計(Seismic Intensity Meter):
震度計は強震計の一種ですが、測定された地震動(加速度)から、日本の計測震度を自動で算出し、表示する機能を持っています。
用途: 緊急地震速報の発令や、地震発生時の防災対応、被害状況の迅速な把握に使われます。
2. 揺れの影響と安全性を評価・制御する測定器
地震の揺れを検知した後、人命や二次災害を防ぐための制御や、構造物の安全性を評価するために使われます。
- 感震器(Seismic Sensor / Controller):
地震の揺れ(加速度)を検知し、あらかじめ設定されたレベルを超えた場合に、自動で制御信号を出力する装置です。
用途:
エレベーター: 揺れを感知し、最寄りの階で自動停止させます。
ガス・電気: 感震ブレーカー等、揺れを検知して供給を遮断し、火災などの二次災害を防ぎます。
プラント設備: 危険物を扱う施設で、設備を緊急停止させます。 - 建物健全性評価システム:
建物内に設置した加速度センサー(地震計)が揺れを計測し、そのデータ(最大加速度や層間変形角など)を分析して、地震直後に建物の被災度(損傷レベル)を自動で判定するシステムです。
用途: 揺れの収束後、専門家が現場に行く前に、建物の継続使用の可否や、優先的に点検すべき箇所を迅速に判断できます。(例: NSmosや揺れモニなどのシステム) - 測傾器(Inclinometer):
地震後の家屋や建物の傾きを測定し、安全性を評価するための機器です。
用途: 地震による地盤沈下や液状化、建物の構造的な損傷によって発生した傾斜を、角度やmm/m単位で測定し、応急危険度判定などに使用されます。
まとめ
地震の際に使われる測定器の重要性は、人命救助、二次災害の防止、そして社会インフラの早期復旧という、防災・減災の根幹に関わる点に集約されます。
測定器は、単に揺れを記録するだけでなく、「次に何が起きるか」を予測し、「何をすべきか」を判断するための客観的なデータを提供します。





