鉄カルボニル(Iron carbonyl)
鉄原子に一酸化炭素(カルボニル配位子)が結合した有機金属化合物(金属カルボニル)の総称です。代表的な物質として、1つの鉄原子に5つの一酸化炭素が結合した「ペンタカルボニル鉄」があり、一般に鉄カルボニルといえばこの物質を指します。鉄の微粉末と一酸化炭素ガスを高圧下で加熱反応させることで製造されます。水には一切溶けませんが、ベンゼン、エタノール、アセトンなどの有機溶剤にはよく溶けます。光や熱に対して非常に敏感であり、容易に分解して有害な一酸化炭素と鉄を遊離する性質があります。産業界では、極めて純度の高い鉄粉(カルボニル鉄粉)の製造原料として重要です。引火性が高く、非常に強い毒性(吸入毒性)を持つ極めて危険な液体です。
別名:ペンタカルボニル鉄、五カルボニル鉄、鉄ペンタカルボニル
| ガス名 |
鉄カルボニル |
分子式 (化学式) |
Fe(CO)5 |
| 状態 |
液体 |
| 色 |
淡黄色から暗黄色(光に当たると徐々に分解し、赤褐色に変化することがあります) |
| 臭気 |
かすかに独特の不快な有機金属臭(石油様、あるいは一酸化炭素に起因する特有の刺激を伴う臭気) |
燃焼 範囲 vol% |
3.7%から12.5%前後(想定) |
爆発等級 |
1(想定) |
発火度 |
G1 |
| 用途 |
- ・工業用原料(高純度な「カルボニル鉄粉」の製造原料、高周波磁性材料・ダストコアの原料)、有機合成化学における触媒(水素化触媒、カルボニル化触媒)、一酸化炭素の供給源。かつてはガソリンのアンチノック剤としても研究・使用されていました。
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危険 情報 |
- ・引火性の高い液体および蒸気です(引火点:約マイナス15度前後)。
- ・化学的・熱的に不安定であり、光(紫外線)や加熱(約100度以上)によって比較的容易に分解し、猛毒の一酸化炭素ガスと鉄の微粉末を放出します。また、空気(酸素)と接触すると徐々に自己酸化し、条件によっては激しく発熱して自然発火する危険性があります。
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人体の 影響 |
- ・吸入、皮膚接触、経口摂取のいずれの方法においても「極めて強い毒性」を発揮する猛毒物質です。
- ・揮発性が高いため蒸気を吸入しやすく、極めて危険です。吸入すると体内で分解して「一酸化炭素」と「鉄」になり、一酸化炭素中毒(頭痛、めまい、吐き気、呼吸困難、意識障害)を急速に引き起こします。また、鉄の急性毒性により、肺の組織が激しく刺激されて数時間から数日後に深刻な化学性肺炎、肺水腫、呼吸不全を引き起こし、死に至る恐れがあります。
- ・誤って飲み込んだ場合、口腔内から消化管の粘膜を激しく刺激・腐食し、猛烈な腹痛、嘔吐、下痢、吐血を引き起こすとともに、急速に重篤な全身性の中毒症状(肝不全、腎不全、中枢神経障害、ショック状態)を発現し、生命に直結します。
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爆発等級の分類
爆発等級は、爆発性ガスの標準容器による火災逸走を生ずるスキの最小値
爆発 等級 |
スキの奥行25mmにおいて火炎逸走を生ずるスキの最小値 |
| 1 |
0.6mmを超えるもの |
| 2 |
0.4mmを超え、0.6mm以下のもの |
| 3 |
0.4mm以下のもの |
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発火度の分類
発火度は、爆発性ガスの発火温度に従って、下表のように6等級に分類する。
| 発火度 |
発火温度 |
| G1 |
450℃を超えるもの。 |
| G2 |
300℃を超え450℃以下のもの。 |
| G3 |
200℃を超え300℃以下のもの。 |
| G4 |
135℃を超え200℃以下のもの。 |
| G5 |
100℃を超え135℃以下のもの。 |
| G6 |
85℃を超え100℃以下のもの。 |
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