臭化メチル(Methyl bromide)
もっとも単純な構造を持つ有機臭素化合物の一種であり、ハロゲン化アルキルに分類される気体です。非常に強力な殺虫・殺菌・除草効果を持つことから、かつては農産物の輸出入時における検疫(植物検疫)や、土壌くん蒸剤として世界中で大量に使用されていました。しかし、大気中に放出されると成層圏に達し、塩素よりもはるかに高い効率でオゾン層を破壊することが判明したため、モントリオール議定書に基づき、現在は国際的に製造・使用が原則として全廃(検疫等の例外を除く)されています。また、極めて強力な急性毒性・神経毒性を持つ危険物質でもあります。
別名:ブロモメタン、メチルブロマイド
| ガス名 |
臭化メチル |
分子式 (化学式) |
CH3Br |
| 状態 |
常温常圧では気体 |
| 色 |
無色透明 |
| 臭気 |
高濃度ではクロロホルムに似た、かすかに甘い特有の有機溶剤臭がありますが、低濃度ではほぼ無臭です。このため、漏洩に気づきにくく、かつては警告用に少量のクロルピクリン(催涙性物質)が添加されていました。 |
燃焼 範囲 vol% |
10.0%から16.0%前後 |
爆発等級 |
1(想定) |
発火度 |
G1 |
| 用途 |
- ・(現在は国際条約および国内法により、特定の植物検疫用途などを除き使用禁止です)
- ・かつての用途:農産物(輸入穀物、木材、果実など)の倉庫くん蒸・検疫用殺虫剤、土壌くん蒸用殺菌・殺虫剤、有機合成のメチル化剤。
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危険 情報 |
- ・可燃性の気体(および液体)ですが、引火性・燃焼性は比較的低いです。常温では気体として激しく拡散し、高エネルギーの点火源(高電圧の火花など)や純酸素、または高温下において、空気と混ざることで爆発性混合気体を形成します。加熱分解や燃焼により、臭化水素や臭素、一酸化炭素、二酸化炭素などの極めて有毒で腐食性の高いガスを発生します。
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人体の 影響 |
- ・極めて強力な急性毒性と重篤な遅発性神経毒性を持っており、吸入または皮膚吸収により生命に危険を及ぼします。
- ・吸入(急性毒性・神経毒性):最大の特徴は「遅発性」であることです。高濃度を吸入しても数時間から十数時間は目立った症状が出ないことが多く、その後急激に悪化します。初期症状として頭痛、めまい、吐き気、視覚障害、言語障害、歩行千鳥足などの神経症状が現れます。重症化すると、激しい痙攣、精神錯乱、昏睡に陥り、肺水腫や腎不全、呼吸中枢の麻痺により死亡します。一命を取り留めても、認知障害や麻痺などの深刻な中枢神経系の後遺症が残ることが多いです。
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爆発等級の分類
爆発等級は、爆発性ガスの標準容器による火災逸走を生ずるスキの最小値
爆発 等級 |
スキの奥行25mmにおいて火炎逸走を生ずるスキの最小値 |
| 1 |
0.6mmを超えるもの |
| 2 |
0.4mmを超え、0.6mm以下のもの |
| 3 |
0.4mm以下のもの |
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発火度の分類
発火度は、爆発性ガスの発火温度に従って、下表のように6等級に分類する。
| 発火度 |
発火温度 |
| G1 |
450℃を超えるもの。 |
| G2 |
300℃を超え450℃以下のもの。 |
| G3 |
200℃を超え300℃以下のもの。 |
| G4 |
135℃を超え200℃以下のもの。 |
| G5 |
100℃を超え135℃以下のもの。 |
| G6 |
85℃を超え100℃以下のもの。 |
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