メチルイソシアナート(Methyl isocyanate)
イソシアナート基(-N=C=O)を持つ有機化合物の一種です。産業界では「MIC」という略称で知られています。分子量が小さく構造が単純であるため非常に揮発しやすく、かつ極めて高い反応性と猛烈な急性毒性を持っています。1984年にインドで発生し、数十万人もの被害者を出した史上最悪の化学工場事故「ボパール化学工場事故」の主原因物質として世界的にその名が知られています。その恐るべき毒性と危険性から、現在では厳重な法的規制のもとで取り扱われており、一般の有機溶剤のような使用は一切なされません。
別名:イソシアネートメタン、イソシアナトメタン、MIC
| ガス名 |
メチルイソシアナート |
分子式 (化学式) |
C2H3NO |
| 状態 |
液体 |
| 色 |
無色透明 |
| 臭気 |
刺すような非常に強い、激しい刺激臭 |
燃焼 範囲 vol% |
5.3%から26.0%前後 |
爆発等級 |
1(想定) |
発火度 |
G1(想定) |
| 用途 |
- ・(過去・現在ともに、完全に密閉された工業プロセス内の中間原料としてのみ使用されます)
- ・カルバメート系農薬(殺虫剤・除草剤など)の合成中間原料、一部の医薬品やポリウレタン等の合成原料。
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危険 情報 |
- ・高度に引火性の高い液体および蒸気であり、同時に激しい自己反応性・爆発危険性を持つ極めて危険な物質です(引火点:約マイナス15度からマイナス7度前後)。
- ・常温以下であっても火源があれば一瞬で引火・爆発し、空気と混ざることで広範囲な爆発性混合気体を形成します。
- ・水分(水、水蒸気)と接触すると、激しい発熱と二酸化炭素の発生を伴う猛烈な分解反応を起こします。密閉容器内に水が混入した場合、発生したガスの圧力と熱によって容器が爆発的に破裂し、有毒ガスが周囲に大拡散するため、水との接触は絶対に厳禁です。
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人体の 影響 |
- ・人類が取り扱う化学物質の中でもトップクラスの、凄まじい急性毒性と破壊的な粘膜刺激性を持っています。吸入、皮膚接触、経口のすべての経路において極めて微量であっても生命に危険を及ぼします。
- ・気化した蒸気をわずかでも吸入すると、呼吸器系の粘膜を激しく破壊します。激しい咳、呼吸困難、喉の灼熱感から始まり、急速に「肺水腫(肺に水が溜まる状態)」を引き起こして窒息死に至ります。ボパール事故での死因の多くもこの急性肺水腫によるものでした。
- ・直接触れると、皮膚の組織を激しく腐食し、重度の化学熱傷や水疱を形成します。皮膚からも容易に吸収されて全身中毒を起こします。一命を取り留めても、肺機能の永久的な低下(肺線維症)、視力障害、免疫系の破壊など、生涯にわたる深刻な後遺症が残ります。また、生殖細胞変異原性や胎児への悪影響も確認されています。
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爆発等級の分類
爆発等級は、爆発性ガスの標準容器による火災逸走を生ずるスキの最小値
爆発 等級 |
スキの奥行25mmにおいて火炎逸走を生ずるスキの最小値 |
| 1 |
0.6mmを超えるもの |
| 2 |
0.4mmを超え、0.6mm以下のもの |
| 3 |
0.4mm以下のもの |
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発火度の分類
発火度は、爆発性ガスの発火温度に従って、下表のように6等級に分類する。
| 発火度 |
発火温度 |
| G1 |
450℃を超えるもの。 |
| G2 |
300℃を超え450℃以下のもの。 |
| G3 |
200℃を超え300℃以下のもの。 |
| G4 |
135℃を超え200℃以下のもの。 |
| G5 |
100℃を超え135℃以下のもの。 |
| G6 |
85℃を超え100℃以下のもの。 |
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