フェノール(Phenol)
ベンゼン環の水素原子1個がヒドロキシ基(-OH)に置換された構造を持つ、最も単純な芳香族ヒドロキシ化合物です。水溶液は弱酸性(カルボン酸より弱く、炭酸より弱い酸性)を示し、かつては「石炭酸」と呼ばれていました。工業的にはベンゼンとプロピレンからクメンを経由してアセトンと共に製造される「クメン法」が主流です。室温では白色の結晶ですが、水を含むと融点が下がり液体状(液状フェノール)になります。水に適度に溶け(常温では約8%前後、66度前後以上で任意の割合で混ざり合う)、アルコール、エーテル、クロロホルムなどの有機溶剤には非常によく溶けます。プラスチック(フェノール樹脂)や医薬品などの多様な化学製品の基礎原料として極めて重要な化学物質です。強力な組織腐食性と高い急性毒性を持つため、取り扱いには厳重な警戒が必要です。
別名:石炭酸、フェニルアルコール、ベンゼノール、カルボール酸
| ガス名 |
フェノール |
分子式 (化学式) |
C6H5OH |
| 状態 |
固体 |
| 色 |
白色の結晶 |
| 臭気 |
特有のツンとする、薬臭い、あるいは消毒液のような強烈で持続性のある芳香臭(石炭酸臭) |
燃焼 範囲 vol% |
1.3%から9.5%前後 |
爆発等級 |
1(想定) |
発火度 |
G1 |
| 用途 |
- ・化学工業原料(フェノール樹脂、エポキシ樹脂の原料となるビスフェノールA、ポリカーボネート樹脂、ナイロン原料であるカプロラクタムの製造)、医薬品原料(サリチル酸、アスピリン、消毒剤、防腐剤)、染料、農薬、界面活性剤の合成原料。
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危険 情報 |
- ・可燃性の固体であり、融解して液体になった場合は引火性の液体および蒸気となります(引火点:約79度から80度前後)。空気と混ざることで爆発性混合気体を形成し、蒸気は空気より重いため低い場所に滞留しやすいです。
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人体の 影響 |
- ・極めて強力な組織腐食性と急性毒性(吸入、経皮、経口)を持っており、人体に対して非常に危険な物質です。
- ・直接触れると、皮膚のタンパク質を急速に凝固・腐食させ、化学熱傷(重篤なただれや壊死)を引き起こします。フェノールの恐ろしい特徴として「局所麻酔作用」があるため、高濃度であっても触れた直後は痛みを感じにくく、気づかないうちに深部まで腐食が進行したり、皮膚から大量に吸収(経皮吸収)されたりすることがあります。皮膚から吸収されたフェノールは急速に全身へ回り、中枢神経系の抑制、急性腎不全、肝障害、心不全を引き起こし、比較的狭い面積の接触であっても致命傷になる恐れがあります。
- ・取り扱いの際は、火気や熱源を完全に遮断し、防爆設備を施した厳重な局所排気装置(ドラフトチャンバー等)の内部でのみ作業してください。
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爆発等級の分類
爆発等級は、爆発性ガスの標準容器による火災逸走を生ずるスキの最小値
爆発 等級 |
スキの奥行25mmにおいて火炎逸走を生ずるスキの最小値 |
| 1 |
0.6mmを超えるもの |
| 2 |
0.4mmを超え、0.6mm以下のもの |
| 3 |
0.4mm以下のもの |
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発火度の分類
発火度は、爆発性ガスの発火温度に従って、下表のように6等級に分類する。
| 発火度 |
発火温度 |
| G1 |
450℃を超えるもの。 |
| G2 |
300℃を超え450℃以下のもの。 |
| G3 |
200℃を超え300℃以下のもの。 |
| G4 |
135℃を超え200℃以下のもの。 |
| G5 |
100℃を超え135℃以下のもの。 |
| G6 |
85℃を超え100℃以下のもの。 |
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