フェニル酢酸(Phenylacetic acid)
酢酸のメチル基の水素原子1個がフェニル基(ベンゼン環)に置換された構造を持つ、芳香族カルボン酸の一種です。天然には、ハチミツやローズ、各種の花の香気成分として微量に含まれているほか、体内におけるフェニルアラニンの代謝中間体としても存在します。水にはわずかに溶けますが(常温で約1.6%前後)、エタノールやジエチルエーテル、アセトンなどの多くの有機溶剤には非常に高い溶解性を示します。低濃度ではハチミツのような非常に甘く芳香性の高い香気を放つため、香料工業における重要な調合原料となるほか、医薬品(ペニシリンGなど)の製造における前駆体・合成原料として世界中で広く利用されています。可燃性の固体であり、酸性物質としての目や皮膚への刺激性を持っています。
別名:フェニルエタン酸、アルファ-トウル酸、ベンゼン酢酸
| ガス名 |
フェニル酢酸 |
分子式 (化学式) |
C8H8O2 |
| 状態 |
固体 |
| 色 |
白色 |
| 臭気 |
高濃度や純粋な固体ではツンとする強烈で不快な、あるいは動物的な汗や尿を思わせる刺激臭ですが、高度に希釈すると、ハチミツやローズ、心地よい甘いシロップやタバコを連想させる特有の芳香臭 |
燃焼 範囲 vol% |
– |
爆発等級 |
1(想定) |
発火度 |
G1 |
| 用途 |
- ・香料工業原料(ハチミツ系、ローズ系、オリエンタル系の調合香料、化粧品、石鹸、食品フレーバーの製造)、医薬品合成原料(抗生物質ペニシリンGの側鎖導入剤、各種中枢神経系医薬品や消炎鎮痛剤の製造中間体)、植物成長調整剤(オーキシン様作用を持つ農薬試薬)。
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危険 情報 |
- ・可燃性の固体であり、融解して液体になった場合は引火・燃焼の危険性があります(引火点:約132度から143度前後)。
- ・沸点が高く常温では爆発性雰囲気を形成しませんが、工業プロセスなどで加熱昇華・ミスト化して扱う際や、粉塵が空気中に浮遊して高濃度に達した場合は、静電気などの微小な点火源によって「粉塵爆発」を引き起こす危険性があるため注意が必要です。
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人体の 影響 |
- ・酸性物質であるため、目、皮膚、および呼吸器の粘膜に対して一定の刺激性を持っています。
- ・結晶や粉塵、あるいは融解した液体の飛沫が目に触れた場合、眼粘膜を強く刺激し、激しい痛み、赤み、涙、結膜炎を引き起こします。適切に処置しない場合、角膜を損傷する恐れがあります。
- ・誤って飲み込んだ場合、口腔内から食道、消化管の粘膜を刺激して吐き気や嘔吐、腹痛、下痢を引き起こします。大量に摂取した場合は全身中毒を招く恐れがあります。
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爆発等級の分類
爆発等級は、爆発性ガスの標準容器による火災逸走を生ずるスキの最小値
爆発 等級 |
スキの奥行25mmにおいて火炎逸走を生ずるスキの最小値 |
| 1 |
0.6mmを超えるもの |
| 2 |
0.4mmを超え、0.6mm以下のもの |
| 3 |
0.4mm以下のもの |
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発火度の分類
発火度は、爆発性ガスの発火温度に従って、下表のように6等級に分類する。
| 発火度 |
発火温度 |
| G1 |
450℃を超えるもの。 |
| G2 |
300℃を超え450℃以下のもの。 |
| G3 |
200℃を超え300℃以下のもの。 |
| G4 |
135℃を超え200℃以下のもの。 |
| G5 |
100℃を超え135℃以下のもの。 |
| G6 |
85℃を超え100℃以下のもの。 |
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